忍者ブログ

誰かの見る夢の話

何処の島にいる"ホルス"という名の青年の夢の記憶。
08 2017/09 1 23 4 5 6 7 8 910 11 12 13 14 15 1617 18 19 20 21 22 2324 25 26 27 28 29 30 10

[PR]

×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

  • 09/24/15:38

1つの希望

僕の両親は只人ではない。
カルマートに昔あった竜の国を護っていた竜の魂を宿した「竜人」だ。

その為、父さんの根城である屋敷にはたくさんの本が所蔵されている。
今はない国の本、遠い国の本、失われた魔法の本。人以外の種族が記した本…。
色んな知識を得るにはもってこいの環境が、僕には与えられていた。


赤子の時に見たあの夢。

紅い島で短い間一緒に居た人達。 何よりも誰よりも大切な人…。
忘れた事はない。忘れられない。理由等わからないけれど、あの人は
僕だけの人。僕だけのパートナー。
小さくて、寂しがりやで、泣き虫で…けれど芯の強い可愛い人。


僕の夢の話を聞いて、一番驚いていたのはカレン姉さんだった。

「・・・その島って、私が行っていた島と同じ法則じゃない。
 怪物も…同じだわ。」

僕が生まれた頃に姉さんが冒険していた島と、あの紅い島はとても
良く似ていたのだ。生息するモンスター、夢の中で得た僕の技能も全く
同じなのだと姉さんは言っていた。

「ああ そういえば、島の冒険者の中にも「紅い島」の夢を見て
 いたって人・・・何人かいたっけなぁ。
 あ セレナさんがそんな事を言ってたような気がする…。」

その島はきっと あの紅い島に近い場所にあるのだろう。
一度行ってみたい… 行けば何かが掴めるかもしれない。そして
あの人を見つけられるかもしれない。


僕の話はペレやテラ、両親も冗談半分で聞いていて真剣に聞いては
くれない。赤子の時の夢の話だから。あり得ぬ世界の話だから。

ただカレン姉さんだけは真剣に聞いてくれた。

「あの島はとても不思議な所だったから。
 島に集まる人達も随分変わっていたのよ。異世界と呼ばれる時間軸や
 存在する次元の違う所からも人が集まっていたもの。

 シオンが見た場所も本当にあったんじゃない?」

笑いながら姉さんは一緒に書庫での資料探しに付き合ってくれた。


「それに・・・大切な人なんでしょう? そのキズナって子。
 例え夢でも、そうやって巡り会えたのなら縁はあると思うの。

 頑張りなさい。 今度その子を見つけた時は…
 その手を離さないようにね。」


僕と同じ半竜人。
姉さんも"パートナー"については色々と苦労があったんだろう。
そのせいなのか、家に帰ってきた時はいつも僕の相談にのってくれた。




13になった時、僕はグインズギルドに登録をして冒険者となった。
まだカルマートの外へ出るのは早いだろうけど、いつか冒険者として1人立ち
出来たなら・・・あの島へと。必ず。


あの約束を果たす為に。


+++++++++++++++

ギルドに入った日の夜、夢を見た。

何も無い闇の中に、ちょこんと1人の老人が座っている。

「・・・お前も諦めが悪いと言うか一本気と言うか…。
 困った奴じゃな。」

苦笑いをしながら僕を見ていた。
誰だろう? 見た事のない人。不思議そうな顔をして老人を見ていると

「ああ 前の記憶はスッキリと消えとるんじゃったな。
 え〜 今の名はホルスだったか?」

「・・・半分当たり。僕はシオン・ホルス・クサナギだよ。
 その名で呼ばれていたのは、あの夢の中でだけ・・・

 って! 爺さん 何か知っているのか?」

紅い島で呼ばれていた名を言われてビックリする。

「……まぁな。お前があの島にいた事、あの島である娘と巡り会った事も
 知っておる。」

その言葉を聞いて、僕はいても立ってもいられなくなって爺さんに
詰め寄って尋ねた。

「キズナは…キズナは生きているの? ね 無事でいるの?!」

僕を見て半分困った顔をして爺さんは髭を撫でながら呟いた。

「やれやれ、夢の事は前世と関係がない故に…覚えておったか。
 赤子の夢だと思うておったが・・・
 それ程までに…お前とあの娘の絆はとても深いのじゃな。」

頭をかしげ、1つ息を吐いてから爺さんは言葉を続けた。

「お前の覚悟はあの島で見せてもらった。
 本来、こういう事を教えるのはイカン事だが、まぁあの娘はわしの愛弟子
 でもあるし・・・特別サービスじゃ。

 あの娘は生きておる。
 流転した先で犯した罪を償う為に、在るべき世界では眠り続けている。

 だが あの娘は夢を渡る事を覚えた。 あの島でお前と出会った事で
 お前を探し求めて夢を渡り歩いておるのだ。」

キズナが生きている! それだけでも僕は嬉しくて…。
 
「夢を渡る力がお前にも多少はあるようじゃ。
 たくさん折り重なり存在する夢の世界で、あの娘と出会う確率は低い・・・
 それでも…」

「それでも出会えるなら、僕は探す。キズナを探してみせる!」

爺さんに一礼して 僕は走り出した。 現実で出会えなくても・・・
夢でも構わない。

++++++++++++++



必ず 僕は貴女を捜し出して…許される限り貴女の側にいよう。


それが約束。
僕がキズナとあの島で最後にした




2人だけの約束。

PR
URL
FONT COLOR
COMMENT
Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字
PASS

TRACK BACK

トラックバックURLはこちら
新着記事
(10/24)
(10/22)
(09/12)
(09/04)
(09/04)