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誰かの見る夢の話

何処の島にいる"ホルス"という名の青年の夢の記憶。
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  • 12/17/22:42

赤い月の夢



少しずつ少しずつ崩壊する島。

島に捕われた者達を逃げられぬようにするかのごとく、海岸線だった所は
高く高く切り立った崖へと変化した。崖は少しずつ島を狭めて行く…。
その高さと、足がかりのない平坦な岩壁はまるで囚人を逃がさぬ檻のようだ。
砂地と疎らな草地、高い崖、小さな水場・・・。
今 この島にあるのはそれだけ。

崖に囲われた小さな空は、血のように紅い。
この島の空は紅く、炎は蒼い。
夜だけは蒼い帳で空は青紫へと変じる。それでも何処か紅い色を残して。


始めの頃、青白い光を大地へと投げかけていた月も、見上げると紅い月に
変わっていた。 崩壊への前触れ? それとも紅い夢の世界本来の色へと
戻ったのか・・・。


皆が知っている。
この島が明日で消えてしまう事。 勝っても負けても明日で全てが終わる。
ここにいる自分が消えてなくなってしまう事。

たった20日間。
それだけの時間で得た物、大切な人、大切な物、大切な絆・・・。
それが明日で全て無くなってしまうのだ。 喪失する恐怖が心を蝕む。



気がつくとキズナもリョウコもいなくなっていた。
焚き火の側に1人残されて、僕は不安にかられた。慌てて立ち上がり2人を
探す。蟲の声、風のざわめきの中から微かなキズナの声を拾い、辿る。
崖の向こうにある海の潮の香に紛れている、微かなキズナの匂いを辿る。

焚き火から少し離れた樹の下で、キズナとリョウコは座って話していた。
リョウコが僕に気付き、立ち上がり僕の方へと歩いてきて・・・
軽く僕の胸を叩く。

「後はアナタの領分ね。」

クスと小さく笑ってリョウコは焚き火の方へと去って行った。

キズナは樹の下に座って泣いていたのか、随分と泣きはらした顔で僕を見る。
不安なのは僕も同じ。 なぐさめようとそっとキズナに口づけた。




そのまま2人で互いを求める。
感じたい。今こうして近くにいる事。
こうして2人が1つになった事。誰よりもお互いを欲して想っている事。

忘れたくない。忘れないで欲しい。
だから僕もキズナも互いの身体を食むように、激しく求めて貪った。
僕は自分がキズナを忘れないように、キズナが僕を決して忘れないように
キズナの身体に印を刻む。
キズナも同じように僕の身体に印を刻む。 僕がキズナだけの物であると
いう印。


何度も何度も自分の中に打ち寄せる波に身を任せて、2人身体を重ねた。
最後の宴。もう2度とこうする事は叶わぬと知っているから・・・。

何度も何度も・・・。



紅い月だけが僕たちを見ていた。






忘れないで。キズナ。
貴女を大切に想う者がいた事。
貴女を愛している者がいる事。

夢の中の出来事だと、悲しまないで。


忘れないでいて。僕の事。僕の名前を。



そして 優しいその声で僕の名を呼んで。
僕はその声を頼りに いつか必ず貴女を捜して側に行くから。

過去も未来も、星座も越えて
貴女の元へと行こう。


もう一度 貴女を抱きしめる為に。
もう一度 貴女のその笑顔を見る為に・・・。


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