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キズナの望む事
月明かりの下で、キズナが纏っていた衣服を脱いだ。
白い肌に残る傷跡。
その身体をキズナは「汚れている」と悲しそうな顔をして言った。
汚れてなんかいないのに。
とても綺麗な身体なのに。
どうしてキズナはそんなことを言うのだろう?
「どす黒く汚れた私は、すなわち魔物と同じで、
いつ狂ってしまうか分からない」
「だから、ホルスの綺麗な心で私を救って…、
私のこの体をどうか…ホルスの唇で浄めて欲しいの…」
キズナが僕を見てそう言った。
傷ついた魂、傷ついたキズナ。
罪を償う為に与えられた罰の重さに、叶わなかった己の願いに。
こうして僕が手を差し伸べて、共にいる事も理に反しているのかも知れ
ない。でも こうして巡り会えたのなら・・・。
一時だけでも と 何かが救いの手を差し伸べてくれたんじゃないか。
「神」というモノはいるとは思わない、けれど・・・。
キズナが望む通りに、キズナの身体に口づける。
唇、首筋、腕、胸、腹、脚・・・。
キズナの身体は熱くて、柔らかい。少しでも力を入れれば壊れてしまい
そうな程。こうしていると僕の頭も身体も熱くなって、クラクラする。
不思議な感覚。
竜だった時にも、少し感じた事のあるむずむずするようで…切ない感覚。
その感覚が何だか分からないけれど、キズナを見ているとその感覚が
増してゆくような気がした。
キズナの身体に口づける度に、キズナの口から漏れる熱い吐息を聞いて
自分の中にあった何かが呼び覚まされる。
そして、それをどうすればいいのか自分でも分からなくなる。
月明かりの下で、2人抱き合って そうして眠る。
それでキズナの心が癒されるなら、今だけでも・・・。
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