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誰かの見る夢の話

何処の島にいる"ホルス"という名の青年の夢の記憶。
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  • 04/26/02:18

僕に出来る事


初めて島の怪物に敗北した。
マナを奪われ、力が抜ける。

島の崩壊は進み、島は随分と小さく狭くなってしまった。
崩壊に追われて島に残った人間達が集まり出し、再び人同士の闘いが
活発になる。

僕は・・・最後まで島に残る事が出来るのだろうか?



夜 それぞれが眠りにつく。
僕は焚き火の側に座り、ぼんやりと考え事をしていた。
アルシンハの言っていた言葉を思い起こしながら、何とかしてキズナを
救う事は出来ないのか。

ふらりとキズナが僕の側へとやって来た。
思い詰めた顔をして僕の前に立つ。

「ホルス…これを」

キズナはネクタイをほどくと服のボタンを外し、服を脱いだ。
服が地面に落ち、キズナの肌が月明かりの下で露になる。華奢な身体には
たくさんの傷跡。 痛々しい程の傷跡。

「わたし…駄目な人間だったんだ。」

キズナが暗い目をして自分の事を話し始める。
嫌な事があれば自分を傷つけてしまうのだと。そしてそれで自分だけ
じゃなく友達と大切な人まで無茶苦茶にしてしまったのだと。
僕はそれを黙って聞いている。

「私、狂っているんだ。

 夢の中にも出てくる、私と同じ顔をした「私」がいうの、
 お前は愛の為に狂った女の生まれ変わりだから、やっぱり今の人生も
 狂って終わるんだって…」

その言葉を聞いて僕の身体は強張ってしまった。
サンサーラの掟で失った過去の記憶。キズナは前の記憶なんて全く持って
いないはずなのに・・・
どこかで魂はそれを記憶しているのだろうか? あの悲しい記憶を。

「ごめんね、ホルス。大好きだけど、私いつかきっとあなたを
 傷つけてしまうから…」

そう言うとキズナはそっと僕の唇に唇を重ね、そのまま立ち去ろうとする。


思わず僕はキズナの腕を掴んで、キズナの身体を引き寄せた。
小さなキズナの身体を抱きしめる。

「行っちゃ駄目。 キズナは僕に言った。
 この世界が終わるまで側にいてって。だから離さない。

 もしキズナが狂って僕を殺そうとしても。僕はキズナから離れない。
 前の時も 僕はキズナの為に死んだ。
 だから・・・。」

キズナがしたように、僕もキズナの唇に唇を重ねて…
もう一度その身体を抱きしめた。



離すものか。決して。


僕のせいで罪を犯し、こんなに傷ついてしまったキズナ。
赦される日まで独りでいなければならないキズナ。
こうして僕が一緒にいる事が許されるのも、ほんの一瞬の時間だけだろう。

ならば その一時だけでも 彼女の側にいよう。
キズナの心の渇きをそれで癒せるなら。


大好きな貴女の為に今の僕に出来る事は それだけだから。


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