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誰かの見る夢の話

何処の島にいる"ホルス"という名の青年の夢の記憶。
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  • 04/27/08:38

生きる為に

しまのあちこちでたたかいがはじまっている。
このしまでいきのびるためには、「マナ」というものがひつようで
それはたたかってかたなければてにいれることができない。
まければあいてにうばわれる。そんなモノなんだって。

だから みんないきるためにひっしになってたたかう。

ヒトは「どうぞくころし」を"きんき"としているときいていたけれど、
このしまではそんなことはいっていられない。
じぶんがいきのびるためには、だれかをぎせいにしなければならないから。

だから ようしゃなくだれかにやいばをつきたてる。


すすんださきのへいげんで、ぼくたちのまえに3にんのヒトがたちはだかった。
たたかいのときだ。
キズナもリョウコも、ぼくもみがまえた。

いきのびるために。





ーーーーーーーーーーーーーーー

あの人を待っていた時、僕は大勢の男達に捕らえられてしまった。
縄で拘束され、なす術も無いまま何処かへと運ばれる。

「随分と立派な・・・だ。 こりゃイイ金になる。」

男の1人がいやらしく笑いながら僕を見てそう言った。
アジトらしき場所に連れ込まれて、どうしたものかと思っていたら大勢の
男達がアジトになだれ込み、狭いアジトの中は大混乱になる。
僕を攫った男達と対立している集団の者達による襲撃だろう。


その混乱の中、僕は別の男達の一団に連れ出されて、違う場所へと運ばれた。

「う〜ん。これだけ立派な・・・なら、献上した方が金になりそうだ。」

檻の車に入れられて、また何処かへと連れて行かれた。
あの人と離ればなれになって、とても不安だった。僕はどうなってしまう
んだろう? 怖くて悲しくて辛くて・・・。

「あら ちょうどいいじゃない。めでたい時に・・・を食べるのは
 しきたりですからね。」

連れて行かれた先の地下室で、女のヒトと白い服を着た男が僕を見て
そんな話をしている。

「じゃあ 早いうちに シメておきましょうか。
 ・・のにも時間がかかりますから、下準備を早いうちに…」

そして、白い服を着た男は、僕に大きな刃を突き立てようとした。


・・・殺される!


嫌だ。 死ぬのは嫌だ。


死んでしまったらもうあの人に会えなくなる。あの人の声も聞けなくなる。
それだけは・・・嫌だ!!

必死だった。
力の限り暴れて、男も女も突き飛ばして・・・僕は逃げた。
地下室から飛び出して、何も考えずに走り続けた。
追っ手を撒く為に、人があまり近寄らない酸の雨の降る草原へと逃げ込む。
酸の雨は容赦なく僕の身体を焼いて、僕の身体はあちこち焼けただれてしまった。
それでも追っ手を振り切る為に独りで雨の中草原を走り続けた。

草原の真ん中に立つ大きな樹の下で、僕は力尽きて座り込む。
足がもう動かない。草原には何の気配もなかった。
追っ手は酸の雨に怯んでここまでは追いかけては来なかったらしい。
焼けただれた身体は痛み、その痛みで意識が朦朧とする。

………雨は降り続いている。

雨が降る中、樹の下でずっとずっと考えていた。
「なんとしてでも生き延びなければ」
あの人ともう一度出会う為に。ただそれだけしか考えられなくなっていた。


・・・・を殺しその身を喰らってでも、僕は生きなければならない。



どれ程の時が過ぎたのかは分からなかった。
草原を抜け、誰も近寄らぬ荒れ地にある洞窟で僕は独りで必死に生き続けた。
暗い洞窟の奥で襲い来るモノ達と闘いながら。

もう 何の為に生きているのか、生きなければならないのか忘れかけていた。
笛の音が聞こえた あの時まで。

「ーーーー。・・・ーーーーね。」

洞窟に響く懐かしい声。 優しいあの声。

「…覚えている? 私よ、ーーーーよ。」

差し伸べられた白い手。
ああ 僕の為にいつも差し伸べられたあの手だ。

迷わずその腕の中へと身を委ねた。

僕は この人の為に生き続けなければならなかったのだ。
あの人の腕に抱かれながら、再認識する。


生きていて良かったと。

ーーーーーーーーーーーーーーー


・・・ゆめ?
めをあけると、そこはあのしまだった。

キズナにかみをすいてもらってきもちよくなってねむっていたみたい。
めをこすりながらまわりをみる。
リョウコもキズナもちかくでねむっていた。

キズナはむねりながらちいさなうめきごえをだしている。
・・・あわててキズナのそばへといって、キズナのかおをのぞきこむ。
つらそうなかおをしているのをみてかなしくなった。

キズナのよこにからだをよこたえて、そのままめをとじる。



キズナはかなしいの? さみしいの? それとも・・・


ぼくにはわからない。
でも ないてほしくない。 わらっていてほしい。


ヒトをころしてつらいなら、ぼくがかわりにヒトをころそう。
そうしてぼくたちが、キズナがいきのびられるなら。

だって もうぼくはなんどもなんどもかぞえきれないほどころしているんだ。
ぼくとおなじ"どうぞく"を。いきるためにそれをたべた。
だから つらくはない。

いきるためにころし、くらうことなど にちじょうのことだったんだから。


この ちいさな たいせつなひとを キズナをまもるために、
ぼくはいきたい。 いきのびたい。
どんなことをしても。


それで、キズナとともにいられるなら・・・。


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