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誰かの見る夢の話

何処の島にいる"ホルス"という名の青年の夢の記憶。
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  • 04/27/05:49

自分自身の事


ひととのたたかいで、ぼくはきずをおってたおれた。
キズナとリョウコがふたりでたたかって、あいてをたおしてくれた。

そのあとのたたかいに、ぼくもたちあがりさんかする。
ひとりたおれたままでいるなんで できない。
キズナはぼくが・・・

きりょくだけでたたかっていたせいか、たたかいがおわるとどうじに
ぼくはそのままたおれてしまった。
いしきがうすれてゆく・・・。




ーーーーーーーーーーーーーーー

「無茶ばかりするんじゃないの!
 ーーーー。 アンタはまだ小さいんだから・・・」

あれは 初めて外に出たときの事。
まだ身体も小さくて闘う事も知らなかった僕は、初めての戦闘で傷を
負って倒れてしまった。

あの人は必死になってぼくを手当してくれた。
無茶をするなと 怒っていたあの人の言葉を聞いて、僕は悲しくなる。
だって…何の役にも立てないの? そう思うと情けなくて悲しくて。 

「無理をして アンタが怪我をして倒れたら…悲しいもの。」

あの人が泣いていた。僕の為に?
泣かないで、もう無理はしないから。 笑って欲しくて僕はあの人の
頬をつたう涙を舌で舐めとった。泣かせたくなかったから。
なぐさめたくて身体をあの人に擦り寄せた。

「ふふふ 甘えん坊なのね。
 ・・・それとも 心配してくれたのかな?」

あの人は笑って僕を抱きしめてくれた。



「アンタはこれからもっと大きく、強くなる。
 だから 時間をかければきっと強く、勇ましくなれるから・・・
 その日がくるまでは 少しずつ頑張ればいいのよ。」

川から獲って来たなまずを僕に食べさせながら、優しい声であの人は
そう言った。
大きく強くなれれば、僕はあの人を護る事が出来るのだろうか?

だとしたら、僕は大きく強くなりたい。

ーーーーーーーーーーーーーーー



きがついたとき、もうひがくれてよるになっていた。
キズナがずっとそばについて かんびょうしてくれていたみたい。

まだ すこしからだがいたいけど、ずいぶんとらくにはなっている。

「ごめんね。 ぼく さきにたおれてキズナをまもれなかった。
 こんなによわくて・・・ぼくのこと きらいになっちゃう?」

おきあがって、キズナのまえにすわってから おもわずでたことば。
キズナをまもるときめたのに、さきにたおれてしまったことがとても
なさけなくて…かなしくて…。

「嫌いにならないよ、ホルスは大好き、だよ。だから泣かないで」

やさしいこえで、キズナはそういってぼくのあたまをじぶんのむねに
だきよせてくれた。
あたたかくてやわらかいキズナのむね。むねのこどうがきこえる。
なつかしい どこかできいたことのあるおと。

そのままキズナに からだをゆだねる。


ここちよくて そのままいしきがまたおちていく。
からだのちからがぬけて・・・。




+++++++++++++++

「あらあら やっと起きたの?
 本当にこの子は寝てばかりねぇ・・・」


優しい声が聞こえた。
少しして、僕の顔を覗き込んだのは黒い髪の女の人。

「赤ン坊は 寝るのが仕事だろう? 何を今更・・・」

低く力強い声がして、女の人の後ろから男の人が顔を出した。

・・・キズナは? キズナは何処に行ってしまったの? ここは?
不安に駆られて 僕は泣いてしまった。

「起きたと思ったら 大泣きか?
 あ〜 腹が減ってんのか? それともおしめか?」

男の人があたふたとし始める。 女の人は泣いている僕を抱き上げて
胸に抱くと優しく背中を撫でてくれた。 

優しい胸の鼓動。
キズナと同じ鼓動・・・?

それとも・・・
鼓動を聞いて少し心が落ち着いたのか、また意識が朦朧としていく。

「ん? また寝はじめたのか? 腹が減っていた訳でもおしめが濡れて
 いた訳でもないって事か? 何か 変わった奴だな・・・。」

「自分の息子にそれはないでしょう。 でも… とても不思議な子ね。」


歌が聞こえる。 



まどろみながら聞いていたあの歌が。



誰? あなた達2人は 誰なの?
あの人でもキズナでもないのに、僕を優しく見つめて包んでくれる。

そして ここはどこなの?
島ではない場所、あの人のいた世界でもない場所。


僕は・・・どうして ここにいるの?
意識がまた落ちて行く。深い深い闇の中へ・・・

歌声が 微かになり・・・聞こえなくなった。

+++++++++++++++



きがつくと、ぼくのめのまえでキズナがねむっていた。
あのまま ふたりでねむってしまったみたい。

キズナのかおを そっとゆびでふれてみる。
ほほ、まぶた、はな、・・・ちいさなくちびる。
たしかにそこにあるかんかく。ちゃんとふれることができる。
ゆめじゃない。キズナはたしかにここにいる。



なにがげんじつでなにがゆめなのか、じぶんでもわからない。

ここにきたときには なにひとつおぼえていなかったのに とつぜん
よみがえるきおく、そしてみたことのないひとたち。



どうしようもなくふあんになる。



ぼくは・・・いったいなにものなんだろう?


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