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そこに確かに在るモノ
しまにいるけはいがまたへっている。
いきるちからをうしない、ひとがきえていく。
「人間と闘って負けた時より、この島の怪物と闘って負けた時の方が
失う力が大きい。」
おなじばしょにいるひとのだれかが、そんなことをいっていた。
ひをおうごとに そのうしなうちからがおおくなるのだと。
さいしょは ヒトとたたかうほうがこわかった。
けれど、もしこのひとがいっていることがほんとうなら・・・
かいぶつとたたかうことのほうが おそろしいことなのかもしれない。
ぶきやぼうぐをそろそろつよくしたほうがいいかな?
そんなことを ふとおもった。
ーーーーーーーーーーーーーーー
「・・・ここを通す事は出来ねぇな。」
聖地への扉を守る番人が、あの人にそう言った。
番人に渡す為、あの人が立ち食い屋で禁忌を犯してまで手に入れた
「牛丼弁当」を食べながら番人はあの人をチラリと見る。
「通してやりたいんだけどな。お前の連れがな・・・。」
番人が僕を凝視する。
「そんなウロコじゃ弱くて駄目だ。
ウロコを強くしてやらねぇと ここを通るのは難しい。
ーーーの血を浴びさせて来いや。
そうすりゃウロコが固くなってそいつも強くなっから。」
旅を始めた時、同じように僕を強くする為にあの人は僕を"泉"へと
連れて行ってくれた。 その泉の水を浴びればウロコが固くなると
教えてくれたヒトがいたから。
「行こう。ーーーの巣へ。
危険かも知れないけれど・・・アンタの為だもの。
頑張って 2人で行こうね。」
あの時と同じように、あの人は僕の為に危険を承知で僕を連れて
目的地へと向う。 自分が危険な目に遭うかも知れないのに…。
いつもそうやって僕の事を考えてくれている。
そんなあの人の役にたてるのなら・・・。
ーーーーーーーーーーーーーーー
いまのぼくには"ウロコ"がない。
ほのおやキバ、ツメやかたなから ぼくのみをまもっていた
かたいかたいウロコ。 あのひとがきけんをおかしてまで2かいも
つよめてくれた じまんのウロコ。
いまのぼくには"ツメ"がない。
どんなてきでも きりさいた ぼくのぶきだったツメ。
あのひとをまもるために、たちはだかるてきをたくさんきりさいたツメ。
いまのぼくには"キバ"がない。
どんなものも かみくだき えぐりとったぼくのぶきだったキバ。
あのひとをまもるため、そしてじぶんがいきるために、かぞえきれぬ
ほどのどうぞくをかみくだいたキパ。
ヒトのからだはとてもよわい。
だからぶきとぼうぐをつかって からだをまもり、ちからをふやす。
すこしたよりなくてふべんだけど・・・
そのかわり つめのないこのては キズナをだきしめることができる。
きばのないくちで キズナにふれることができる。
うしなったものはあるけれど、あのときかなわなかったことをてに
いれた。 すきなひとをだきしめてふれることのできるからだ。
ずっとずっと こうしたかった。
だいすきなひとをだきしめて ふれて・・・みたされたかったから。
よるになり、3にんともがひのまわりでねむる。
すこしまえから、キズナはぼくといっしょにねむるようになった。
ぼくがキズナをだきしめ、キズナもぼくをだきしめる。
ふれあうだけであたたかくてみたされるこころ。
だきしめて ゆびでふれる。くちびるでふれる。
やわらかなからだ、あついはだ、ちいさなむね、ぬれたくちびる。
たしかにそこにキズナがいる。
いま ここで いちぱんたしかなモノ。
キズナのあたたかな・・・。
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