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誰かの見る夢の話

何処の島にいる"ホルス"という名の青年の夢の記憶。
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  • 04/20/02:22

昔の記憶


ーーーーーーーーーーーーーーー

その世界は 竜が人と共に生きていた所。
その気高さと凶暴さ故に、人々は竜を畏れ崇拝していた。
そして、この世界には竜と共に生きる者達がいた。

竜と寝食を共にし、笛と心で竜と対話し生きる者・・・。
この世界では希少な存在で、王侯貴族からも一目置かれていた存在。

それがあの人だった。

夢を持って故郷を離れ、僕と出会い共に旅をした。
長い長い旅だった。
あちこちを巡り、入り口への道しるべを辿り、高くそびえる塔を
何度も落とし穴に落ちながらも昇りきり辿り着いた"聖地"。

そこは何もない世界。
ただ 竜だけが住む荒れ果てた場所。

世界を司る"聖なる竜"が住んでいるはずの"聖地"に・・・・・・
"聖なる竜"はいなかった。


「あいつは聖なる竜なんかじゃない!
 私の竜は あいつに殺された!」

聖地に只1つ建つ「立ち食い屋」で再会した女戦士が傷だらけの
姿で叫んでいた。
あの人は女戦士が止めるのも聞かず、黒き竜の潜む迷宮へと向う。

「世界を守る」

その為だけに。あの人は命をかける事を選んだのだ。
ならば僕も共に行こう。あの人を護る為に。

ーーーーーーーーーーーーーーー




ひととのたたかいにまけて、きをうしなったときによみがえるきおく。
ぼくがヒトではなかったころのきおく。
ぼくが"りゅう"だったころのきおく。

すこしずつ すこしずつ じぶんのことをおもいだす。

ここにくるまえのぼくがあゆんできた、いのちのきおくだ。

なら、どうしてぼくは ヒトのすがたになっているのだろう?
りゅうだったはずのぼくが、どうして?


なにかおもいだせるかもしれない。
ねつけなかったよる、そっとねどこをぬけだしてよぞらをみあげながら
じぶんのきおくをたどってみる。

りゅうだったころのぼくのきおくを。




ーーーーーーーーーーーーーーー

「竜の巣」と呼ばれる迷宮は、不可思議な場所だった。
そして何よりも、その奥に潜む黒き竜の目の光が創り出す「心の迷宮」が
あの人を苦しめる。

あの人の"負の心"が黒き竜の力で具現化した迷宮。
育ててくれた祖母が、慕っていた女戦士が、旅の途中で出会い心を許した
友が、そしてあの人自身が敵としてあの人と対峙してあの人を苦しめた。


心が傷つき、身体が傷ついても……それでもあの人は負けなかった。
立ち塞がる者を全て倒して、そして遂に黒き竜と対峙したのだ。

カオスドラゴン。

それが黒き竜の名。世界を混沌と化す為に聖なる竜のいない"聖地"に巣食った
闇の竜。あの人は怯む事なく剣を抜き闘った。
僕も共に闘う。 あの人の望むモノの為に。あの人を護る為に。

どれほどの時間が過ぎただろう。
黒き竜は全く動じず、あの人は傷つき膝をついた。
このままではあの人も僕も倒れてしまう。
何か方法はないのか。・・・1つだけ僕に残された方法があった。

竜が生涯でただ1度だけ使う事の出来るブレス。
あらゆる邪悪を焼きつくす 破魔の火炎。

僕の命と引き換えに、ただ1度だけ使う事の出来る技。


傷を負い、今にも倒れそうなあの人を見て僕は決意した。

「やめて! そんな事をしたら
 アンタが死んでしまう!

 やめなさい! お願いだから・・・やめて!!」


あの人が血まみれで泣きながら笛を吹く。
"竜使いの笛"で 服従を命じるメロディを奏でる。

ごめんね。 でもこうしなくちゃあの竜は倒せない。
そしてこうしなくちゃ 貴女が死んでしまう。
だから その命令だけは聞く事は出来ない。

貴女に生きていて欲しいから。
僕の母親代わり。僕のマスター。そして僕がただ1人愛した人。


僕のブレスに焼かれて、カオスドラゴンの身体が砕けて・・・。
ブレスの代償に僕の身体も崩れてゆく。

あの人が僕の名前を叫んでいる。
泣きながら、心の底から悲しんでいるのが伝わった。
ごめんね。泣かせてしまって。
でも・・・僕は貴女を死なせたくなかったんだ。



「ぱいろん! 私を独りにしないで!」

ーーーーーーーーーーーーーーー



「ホルス!」

キズナのこえがした。
こえのするほうをみると、キズナがはしってきてぼくにだきついてきた。

こころがふあんにふるえている。
ぼくはそっとキズナをだきしめた。

なかないで、ぼくはここにいるから。
だきしめてそっとそのほほにくちづけする。


あれからどれだけのじかんがすぎたのだろう?

ずっとずっと さがしていたんだ。

"ゆんまお" あなたを。
ぼくのただひとりのひと・・・。



あなたもぼくとおなじように「サンサーラのことわり」にしたがって、
まえとはちがうすがたとなっていた・・・。

ちがうせかいへといき、ちがうなまえとなり、ちがういきものになること
だってあると よすてびとアルシンハが いっていた。
ふたたびまみえることはむずかしい と。


それでも ぼくたちはめぐりあえた。


このふしぎなしまで。
そしてこうやってふれあうこともできる。




"ゆんまお"はいま"キズナ"というなまえになって、ぼくのうでのなかにいる。

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