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誰かの見る夢の話

何処の島にいる"ホルス"という名の青年の夢の記憶。
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  • 05/15/12:23

生きる為に

しまのあちこちでたたかいがはじまっている。
このしまでいきのびるためには、「マナ」というものがひつようで
それはたたかってかたなければてにいれることができない。
まければあいてにうばわれる。そんなモノなんだって。

だから みんないきるためにひっしになってたたかう。

ヒトは「どうぞくころし」を"きんき"としているときいていたけれど、
このしまではそんなことはいっていられない。
じぶんがいきのびるためには、だれかをぎせいにしなければならないから。

だから ようしゃなくだれかにやいばをつきたてる。


すすんださきのへいげんで、ぼくたちのまえに3にんのヒトがたちはだかった。
たたかいのときだ。
キズナもリョウコも、ぼくもみがまえた。

いきのびるために。





ーーーーーーーーーーーーーーー

あの人を待っていた時、僕は大勢の男達に捕らえられてしまった。
縄で拘束され、なす術も無いまま何処かへと運ばれる。

「随分と立派な・・・だ。 こりゃイイ金になる。」

男の1人がいやらしく笑いながら僕を見てそう言った。
アジトらしき場所に連れ込まれて、どうしたものかと思っていたら大勢の
男達がアジトになだれ込み、狭いアジトの中は大混乱になる。
僕を攫った男達と対立している集団の者達による襲撃だろう。


その混乱の中、僕は別の男達の一団に連れ出されて、違う場所へと運ばれた。

「う〜ん。これだけ立派な・・・なら、献上した方が金になりそうだ。」

檻の車に入れられて、また何処かへと連れて行かれた。
あの人と離ればなれになって、とても不安だった。僕はどうなってしまう
んだろう? 怖くて悲しくて辛くて・・・。

「あら ちょうどいいじゃない。めでたい時に・・・を食べるのは
 しきたりですからね。」

連れて行かれた先の地下室で、女のヒトと白い服を着た男が僕を見て
そんな話をしている。

「じゃあ 早いうちに シメておきましょうか。
 ・・のにも時間がかかりますから、下準備を早いうちに…」

そして、白い服を着た男は、僕に大きな刃を突き立てようとした。


・・・殺される!


嫌だ。 死ぬのは嫌だ。


死んでしまったらもうあの人に会えなくなる。あの人の声も聞けなくなる。
それだけは・・・嫌だ!!

必死だった。
力の限り暴れて、男も女も突き飛ばして・・・僕は逃げた。
地下室から飛び出して、何も考えずに走り続けた。
追っ手を撒く為に、人があまり近寄らない酸の雨の降る草原へと逃げ込む。
酸の雨は容赦なく僕の身体を焼いて、僕の身体はあちこち焼けただれてしまった。
それでも追っ手を振り切る為に独りで雨の中草原を走り続けた。

草原の真ん中に立つ大きな樹の下で、僕は力尽きて座り込む。
足がもう動かない。草原には何の気配もなかった。
追っ手は酸の雨に怯んでここまでは追いかけては来なかったらしい。
焼けただれた身体は痛み、その痛みで意識が朦朧とする。

………雨は降り続いている。

雨が降る中、樹の下でずっとずっと考えていた。
「なんとしてでも生き延びなければ」
あの人ともう一度出会う為に。ただそれだけしか考えられなくなっていた。


・・・・を殺しその身を喰らってでも、僕は生きなければならない。



どれ程の時が過ぎたのかは分からなかった。
草原を抜け、誰も近寄らぬ荒れ地にある洞窟で僕は独りで必死に生き続けた。
暗い洞窟の奥で襲い来るモノ達と闘いながら。

もう 何の為に生きているのか、生きなければならないのか忘れかけていた。
笛の音が聞こえた あの時まで。

「ーーーー。・・・ーーーーね。」

洞窟に響く懐かしい声。 優しいあの声。

「…覚えている? 私よ、ーーーーよ。」

差し伸べられた白い手。
ああ 僕の為にいつも差し伸べられたあの手だ。

迷わずその腕の中へと身を委ねた。

僕は この人の為に生き続けなければならなかったのだ。
あの人の腕に抱かれながら、再認識する。


生きていて良かったと。

ーーーーーーーーーーーーーーー


・・・ゆめ?
めをあけると、そこはあのしまだった。

キズナにかみをすいてもらってきもちよくなってねむっていたみたい。
めをこすりながらまわりをみる。
リョウコもキズナもちかくでねむっていた。

キズナはむねりながらちいさなうめきごえをだしている。
・・・あわててキズナのそばへといって、キズナのかおをのぞきこむ。
つらそうなかおをしているのをみてかなしくなった。

キズナのよこにからだをよこたえて、そのままめをとじる。



キズナはかなしいの? さみしいの? それとも・・・


ぼくにはわからない。
でも ないてほしくない。 わらっていてほしい。


ヒトをころしてつらいなら、ぼくがかわりにヒトをころそう。
そうしてぼくたちが、キズナがいきのびられるなら。

だって もうぼくはなんどもなんどもかぞえきれないほどころしているんだ。
ぼくとおなじ"どうぞく"を。いきるためにそれをたべた。
だから つらくはない。

いきるためにころし、くらうことなど にちじょうのことだったんだから。


この ちいさな たいせつなひとを キズナをまもるために、
ぼくはいきたい。 いきのびたい。
どんなことをしても。


それで、キズナとともにいられるなら・・・。


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殺戮の島


あのひとのなは"キズナ" ゆみをもったひとのなは"リョウコ"
ふたりにきかれた。

「あなたの名前は?」

・・・なにもおぼえていなかった。でもあのひと…キズナがきいて
いるから、おもいださなくちゃとおもった。
ひっしにかんがえていたら、おもわずことばがでた。

「ホルス」

そうだ。うたをききながらまどろんでいたときに、だれかがぼくに
そうよびかけたことば。きおくにのこることば。
たぶん これがぼくのなまえ。

こうして ぼくたち3にんはいっしょにこうどうすることになった。
3にんでしまをあるいてしらべる。
キズナとリョウコがいっていた。ここからでるすべがないって。
とにかく ここでなんとか3にんでやっていくしかないって。

そうこうしているうちに、このしまにいるへんないきものがおそい
かかってきた。いぬとみどりいろのにんげんがふたつ。
じぶんたちのみをまもるために、ぼくたち3にんはたたかう。
キズナはかわったナイフで、リョウコはゆみで。
ぼくは・・・もっていたきばのようなもので。

おそいかかるあいてをなんとかねじふせ、ほっとする。

でも…なんかちがう。
ぼくはこんなものでたたかうものではなかった そんなきがする。
たたかいをしらぬわけではない。むしろ つねにたたかっていたと
おもう。 でも いまのようなたたかいかたをしてはいなかった。

ぬぐえない いわかん。
なんだろう。このきもち。

ぼくはいったい・・・。



そして びっくりしたことがもうひとつ。

このしまにはたくさんのひとたちがいる。
キズナのようなにんげん、けもの、いぎょうのもの・・・。
みんな ぼくたちとおなじようにしまにやってきたものたち。

そのひとたちが、たがいにぶきをとりたたかいだしたんだ。
そのさまをみて ぼうぜんとしていたら、キズナがいった。

「この島のルールよ。私達は出会った相手と"コロシアイ"を
 する事になっているの。」

キズナのことばにリョウコもかるくうなずいた。
リョウコはうっすらとわらいをうかべながら、まわりのたたかいの
ようすをみている。
まるでたたかうのがたのしみだと いわんばかりに。

キズナはしまのあちこちでおこっているたたかいをみて、すこしだけ
つらそうなかおをした。
きぜんとしたたいどをみせながら、こころはふあんにゆれている。

なかないで。キズナ。

ぼくがいるから。
そばにぼくがいて、キズナをまもるから。


いっしょにたびをしたあのときのように。
ぼくがキズナをまもるから。


だから・・・。




ーーーーーーーーーーーー

「常に・・・と共にあれ」

誰かがあの人にそう言っていた。

僕とあの人を引き合わせた、暗い洞窟に住む世捨て人。
名は・・・ーーーーー。
伝説として語られている人だ。

「ーーーー。あんたは私の新しい家族。
 世界でただ1人の私の・・・・よ。」

そう言って あの人は僕を優しく抱きしめた。



そして 僕とあの人は一緒に旅をすることになった。

小さな僕をを慈しんで見守ってくれたあの人と、2人で。
いつの間にかあの人は僕よりも小さくなっていたけれど、
僕にとっては何よりも大切な人。

僕はあの人を護る為に共にいる。
大切なあの人を護る為にどんな者とも闘おう。

例え それで自分の命を失ったとしても・・・。

ーーーーーーーーーーーーー



とつぜんこころによみがえったおもいで。
キズナをまもる ときめたしゅんかん に。


ぼくはキズナのためにこのしまにきた。



だから ずっとそばにいて。
ぼくのなをよんで。ぼくをだきしめて。


あのころのように。

仲間達

からだのちからがすこしずつもどったようなかんじ。
あしにもうでにもちからがはいるようになった。

ここで であった "あのひと" があるきはじめる。

すこしきょりをおいてボクはあのひとのあとをついてゆく。
ちらりちらりと、あのひとはぼくをみる。
ちょっとこわそうなかおをして。
だからちかよりたくてもちかよれない。 

あんなかおのときのあのひとは、たいていきげんがわるいから。
ひとりでいたいときだから。


いつだったろう。
あのひととたびをしていたときに、そんなことがあった。
いつもずっといっしょだったけど、あのときはいっしょにいる
ことができなかった。
ついていこうとしたら、ものすごいかおをされて・・・
こっぴどくおこられた。

「ーーーー! ついて来ちゃ駄目。ここでおとなしく待ちなさい。」

そういってぼくをおいて、たにのまちへとはいっていったっけ。




どれくらいあるいただろう。
くさのはらにあるおおきなきのところで、あのひとはすわりこんで
しまった。きのねもとにすわり、ためいきをついている。

つかれたの? さみしいの?

どうしよう。こえ かけたほうがいいのかな?
こえ? こえってなんだっけ・・・。
ああ のどからでるんだっけ。てをのどにあてて、のどにちからを
いれていきをはく。

「あ・・・ あ、 あ〜 こ…え でる。」

はじめてだすこえ。なんだかへんなかんじ。
あたまでおもうことをこうしてくちからだすのは、はじめて。
でも これであのひととはなしができる。そうおもうと、とても
うれしい。

きがつくと、あのひとがぼくをみている。

おもいきってちかづいた。
あのひとのまえにすわって、あのひとのかおをちかくでみる。

・・・やっぱりそう。

ゆめのなかのあのひとだ。
かおはすこしちがうけど、こころがおなじ。あのひととおなじ
こころのはどう。うれしくなってかおがほころんだ。

ゆめではなくて、いま めのまえにいるから。
いっしょに、そばにいることがうれしくてしかたない。



ひとがひとりちかづいてきた。
はじめてみるひと。かみのながいおんなのひと。みたことのない
へんなふくをきていて・・・てにはながいものをもっている。
あ あれみたことがある。たしか「ゆみ」とかいうぶきだ。

てきいはぜんぜんないみたいで、あのひととぼくにこえをかけて
きた。すこしかたいえがおをして。

でも なんかこのひとはこわい。
こころのなかになにかもっているようなかんじ。



なにがおこるのかな?
このばしょで。

ぼくたちさんにんがであったこのばしょで。


きのはがかぜにゆれてざわざわとおとをたてる。
へいげんには ただ かぜがふいてた。



ただ かぜが ふいてた。

見知らぬ島での出会い

♪なんにもない なんにもない まったくなんにもない。



うたがきこえる。
くらいくらいやみのなかで。とてもちいさなうたごえ。



♪うまれた うまれた なにがうまれた。



やさしいこえ。あたたかいこどう。
うたをききながら、ボクはまどろみ、ねむる。
そして、ねむりのなかでいつもであうだれか。

やさしいえがおでボクをみつめるだれか。



あれはだれ?



♪ほしがひとつ くらいうちゅうに うまれた。




うたをききながら、ボクは・・・





みしらぬところにたっていた。
ひろいひろいくさのはら。ぽつりぽつりとひとかげがみえる。

あるこうとしてあしをふみだす。
あしにちからがはいらなくて、ころんだ。
なんだろう。じぶんのからだじゃないみたい。

なんでこんなところにいるのかもわからない。
じぶんがなんなのかもわからない。
ずっとずっとうたをきいていたはずなのに、いまはうたもきこえない。


じめんにころがっていたら、だれかがやってきてぼくをじっと
みていた。みたことのないへんなふくをきたひと。

でも ボクはこのひとをしっている。
はじめてあうのにしっている。ねむりのなかでいつもであってただれか。
このひとがそうなんだと、ボクのこころがそういった。


おきあがり、このひとのあとについてゆく。
みしらぬところで、ボクがしるただひとりのひとだから。



これからのことはなにもわからない。

でも このひとといれば なんとかなる。
そんなきがした。
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