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誰かの見る夢の話

何処の島にいる"ホルス"という名の青年の夢の記憶。
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  • 04/29/10:07

最近の2人

ベタベタな2人

中の人が赤面したくなるようなメッセのやり取りに、脂汗が止まりません。

でも、たくさんの人に見られていない結果なので、少しだけ気が楽でス。
最終日までに2人がどうなるのかはまだ分かりません。

……深い仲になったとしても、現状の島の有様では人目がありすぎる罠。

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僕に出来る事


初めて島の怪物に敗北した。
マナを奪われ、力が抜ける。

島の崩壊は進み、島は随分と小さく狭くなってしまった。
崩壊に追われて島に残った人間達が集まり出し、再び人同士の闘いが
活発になる。

僕は・・・最後まで島に残る事が出来るのだろうか?



夜 それぞれが眠りにつく。
僕は焚き火の側に座り、ぼんやりと考え事をしていた。
アルシンハの言っていた言葉を思い起こしながら、何とかしてキズナを
救う事は出来ないのか。

ふらりとキズナが僕の側へとやって来た。
思い詰めた顔をして僕の前に立つ。

「ホルス…これを」

キズナはネクタイをほどくと服のボタンを外し、服を脱いだ。
服が地面に落ち、キズナの肌が月明かりの下で露になる。華奢な身体には
たくさんの傷跡。 痛々しい程の傷跡。

「わたし…駄目な人間だったんだ。」

キズナが暗い目をして自分の事を話し始める。
嫌な事があれば自分を傷つけてしまうのだと。そしてそれで自分だけ
じゃなく友達と大切な人まで無茶苦茶にしてしまったのだと。
僕はそれを黙って聞いている。

「私、狂っているんだ。

 夢の中にも出てくる、私と同じ顔をした「私」がいうの、
 お前は愛の為に狂った女の生まれ変わりだから、やっぱり今の人生も
 狂って終わるんだって…」

その言葉を聞いて僕の身体は強張ってしまった。
サンサーラの掟で失った過去の記憶。キズナは前の記憶なんて全く持って
いないはずなのに・・・
どこかで魂はそれを記憶しているのだろうか? あの悲しい記憶を。

「ごめんね、ホルス。大好きだけど、私いつかきっとあなたを
 傷つけてしまうから…」

そう言うとキズナはそっと僕の唇に唇を重ね、そのまま立ち去ろうとする。


思わず僕はキズナの腕を掴んで、キズナの身体を引き寄せた。
小さなキズナの身体を抱きしめる。

「行っちゃ駄目。 キズナは僕に言った。
 この世界が終わるまで側にいてって。だから離さない。

 もしキズナが狂って僕を殺そうとしても。僕はキズナから離れない。
 前の時も 僕はキズナの為に死んだ。
 だから・・・。」

キズナがしたように、僕もキズナの唇に唇を重ねて…
もう一度その身体を抱きしめた。



離すものか。決して。


僕のせいで罪を犯し、こんなに傷ついてしまったキズナ。
赦される日まで独りでいなければならないキズナ。
こうして僕が一緒にいる事が許されるのも、ほんの一瞬の時間だけだろう。

ならば その一時だけでも 彼女の側にいよう。
キズナの心の渇きをそれで癒せるなら。


大好きな貴女の為に今の僕に出来る事は それだけだから。


ホルスという名前


僕の昔の名は「ぱいろん」
今の僕の名は「ホルス」

昔の事は思い出せた、けれど "今"の事は何もわからない。
アルシンハは

「既におぬしは在るべき場所で新たな身体と、新たな家族を
 得ておるではないか。」

と言っていた。 ならば、この「ホルス」という名も僕が在るべき
場所で名付けられたのか?



島の崩壊が2日前から始まった。
人が減り、マナが減り、夢のこの世界を構築するマナが減って少しずつ
少しずつ島が崩壊している。
地面が、木々が、砕けて霧散して…島にいる人々は皆安定した地面の方
へと移動する。 閑散としていた地域に人が集まり出す。

閑散としていたから回避出来ていた闘いも、また回避出来なくなるよう
な気がする。 キズナの言う「呪いの20日間」が終わるまで、僕たちは
闘わねばならない。自分が生き延びる為に。


ゆんまお・・・いや 今はキズナ。
夜、彼女と共に眠っている時に彼女が見せる苦悶の表情。
キズナとして流転した先で、どれだけ辛い想いをしたのだろうか?
僕がそっと抱きしめる事で少し安心したような顔になるけれど・・・。

「常に独りで生き続けなければならない。」

それがキズナに科せられた罰。
愛しても報われず、友を得る事も出来ぬ 永劫の孤独。
痛みよりも辛く苦しい罰。

一緒にいられるのは後何日なのか。
呪いの終わる日までずっと一緒にいられたとしても、それも後7日間。
その前に消えてしまうかもしれない不安定な時間。

それでも、その短い間だけでも一緒にいられればいい。
短い間だけでも その心の穴を埋める事が出来るのなら・・・。

「……ホ…ル…ス…」

キズナが眠りながら僕の名を呼んだ。
嬉しくて、そっと胸に抱き寄せて僕も眠る。
アクバーラにいた時のように、2人身体を寄せあって眠る。
あの頃にはもう戻れないけれど、今この時だけは・・・・・・。




+++++++++++++++

「・・・命が宿った。
 2人目じゃな。喜ばしい事だ。」

「それは本当か? ペレ。
 まさか また子が出来るとは思いもせなんだが・・・。」

「何を言うか テラ。
 竜人同士が夫婦になること自体珍しい事じゃが、既に1人生まれて
 おるのだから2人目が出来てもおかしくなかろうよ。」

低くしゃがれた声が微かに、頭の中へと聞こえる。
僕の側に、僕のいる場所と同じ場所にいるのが "ペレ" と呼ばれたモノ。
もう1人の "テラ" は何処か別の場所にいるようだ。

「まだ 母親ですら気付いておらぬ。
 じゃが、確かにここに新たな生命がいる。 新たなる我らの同族の
 誕生じゃな。」

嬉しそうにペレとテラは話している。
僕はただそれを聞いているだけしか出来なかったけれど、2人は微睡む僕に
いつもいつも語りかけてくれた。

「ふむ 名がないと不便じゃな。
 どうした物か?」

「名を付けるのは親の役目じゃが…レーンの時のように我ら2人が「守護名」
 を与える事は出来よう。 気は早いがつけてしまおうではないか。」

「レーンには天空の守護を与えた。2人目のこの者にも天空の守護を。」

「空のように雄大に、そして天駆ける太陽のように力強い者になるように
 我ら火と大地の守護竜がそなたに名を与えよう。」





「お前の名は・・・ホルス。」

+++++++++++++++

夢の狭間の島で

出会う筈のない僕と貴女が出会えたこの場所。

消え行く日は近いけれど、「終わりの日」までは・・・
2人一緒にいよう。

寄り添う2人


・・・2人だけの約束。

罪と罰



アルシンハは言った。

「彼女は罰を受けなければならない。」と。

この先流転し続ける先で、相棒も友を得る事なく孤独のうちに生き、
独りで死に行く。求めても決してそれは手に入らない。

罪が赦されるその時まで・・・。


それが世界を統べる竜を殺したゆんまおに科せられた罰。
僕にはどうする事も出来ないのだろうか?

もし、僕に何か出来るのなら・・・出来る限りの事をしたい。
彼女の心が壊れてあんな罪を犯してしまったのは僕のせいだから。

再びまみえる事はない筈だったとアルシンハは言っていたけれど、
今 こうして僕はゆんまお…キズナと出会った。
それだけ縁が深く結ばれているのなら、何か僕に出来ないか。
そう思っている。

それが理から外れている事で罪になったとしても構わない。

あの時から僕は決めているから。
あの洞窟で彼女の手を取った時から、島でキズナに出会った時に
再び決めたんだ。

僕は彼女の為に生きる。 …そう決めたのだ。



「…そうだね、世界が終わるまではずっとそばにいてね。」

今はこの言葉の通りに。
この島にいる限り 僕はキズナの側にいよう。
彼女が望むなら、どんな事でもしよう。

一緒にいられる時間は短くとも。




愛する貴女の為なら。

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