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誰かの見る夢の話

何処の島にいる"ホルス"という名の青年の夢の記憶。
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  • 05/15/01:06

色々呟いてみる

ここ暫く リアルの方がばたついていて、日記を書くのだけで手一杯。
20日間 保ちそうにないと踏んで、当初の予定より少し早い目にネタを出して
しまいました。

日記を読んで下さっている方で、
アクバーラ大陸、カオスドラゴン、アルシンハ、竜使い
という単語を見てニヤリとして下さった方がいるのかどうか謎ですが(笑)

ホルスの前世は、私がRPGゲーム「サンサーラ・ナーガ」で登録した竜です。
何と言うアホアホ設定かと呆れられそうですが…。
竜使い「ゆんまお」と白竜「ぱいろん」は私の中でもお気に入りのキャラクター
で、ついつい色々と使ってしまうのです(駄目福)

こちらの暴走設定のせいで、キズナさんが=「ゆんまお」になってしまい、
キズナPLさんには大変申し訳ない事をしてしまったような気がします。
が! 8/4分のメッセでそれを受け入れて下さる一節があって、更新後に見て
思わず目頭が熱くなってしまいました。
キズナさんのバックボーンはあまりに悲しいので、見る度に救いがあって
欲しいと思っていたり。

この後、2人がどうなってしまうのかは分かりませんが、多分ホルスは
限られた時間の中でキズナの側に寄り添い続けるのだと思います。


今回(8/4)の日記で、ホルスが偽島の設定とリンクしている事を、
遠回しに書いてみました。完全にクロスする事はないと思いますが・・・
まぁとりあえず。

竜使いと竜

少し古い絵ですが・・・「ゆんまおとぱいろん」
時期的には「サンサーラ・ナーガ」クリア後。ぱいろんが"聖なる竜"として
転生した直後。

しかし まさか堕島で設定を拝借してここまでゆんまおさんが悲惨な事に
なってしまうとは思いませんでした!

某ゲームのゆんまおさんはただの食い気おバカ娘なんですけどねぇ(笑)
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いつか終わる世界



+++++++++++++++

「ぱいろん… ぱいろん!」


誰かが僕の名を呼ぶ。
島でもない、竜だった僕がいた世界でもない闇の世界で。
誰かが僕に呼びかけている。

周りを見回しても誰もいない。闇しかないこの場所に何故僕がいる
のか。それすらもわからない。
あの島に来てから、訳のわからない事ばかりだ。

死んだ筈の僕が、こうして生きている事。
竜だった筈なのに 人の姿をしている事。
見知らぬ誰かが、僕を大切にしている世界がある事・・・。


「お前は 何を迷っておるのだ?
 既に行く先も決まっておるだろうに、未だ狭間を漂うのは
 何故だ? そなたも死して掟を知った。

 ならば 過去の想いを洗い流して在るべき場所へと帰らねば
 ならぬ。 そなたの持つ記憶は新たな世界では不必要じゃ。」

闇の中から白いひげを蓄えた老人が現れる。

・・・世捨て人「アルシンハ」
あの世界で、アクバーラで神聖な竜使いとして崇められている…
ゆんまおの師匠でもある人。

「在るべき場所? 何それは?
 あの島の事? ゆんまおのいるあの島の・・・。」


老人は僕を見て溜め息をつき、言葉を続ける。

「あれは違う。あれは夢の世界。いつか消える世界じゃ。
 おぬしの在るべき場所ではない。

 既におぬしは在るべき場所で新たな身体と、新たな家族を
 得ておるではないか。 それを何故受け入れぬ。」

「ゆんまおがここにいるからだ。
 名前も顔も違うけど・・・。アレはゆんまお。
 僕の一番大切な人。僕の…。」

僕の答えに老人は戸惑い、そして僕の手を取る。

「おぬしとゆんまおは"1度"死に別れたが、あの時は聖なる力で
 おぬしは再び甦った。「聖なる竜」として。

 じゃが、復活は2度はない。
 おぬしはあの後 ゆんまおの為に死に、新たな世界へと流転したのだ。
 ぱいろんとしてではなく、新たな命として。」

どう言う事だろう?
アルシンハの言葉は呪文のように聞こえて…僕にはよくわからない。
ただ 僕はあの頃のようにゆんまおといたいだけなのに。

「おぬしの知らぬ、真実を見せよう。」
 

アルシンハが右手を上げると、見覚えのある懐かしい景色が周りに現れた。

暗く垂れ込める雨雲、降りしきる雨の中。
ソーマの樹の下で、誰かが墓標の前に踞っている。
墓標に刻まれた名は「ぱいろん」 僕の名前。

踞っている者の右手には短剣が握られ、左手には白い竜の仔…
僕が死んだ後、新たに生まれた「聖なる竜」
短剣は竜の仔の腹を切り裂き、墓標にその血と臓物が注がれる

「これでぱいろんが甦るなら…」

墓標の前にいたのはゆんまおだった。
焦点の合わぬ目で、墓標に血を注ぎアクバーラで禁忌とされている呪を
唱え始めた。
僕が死んだ事で、ゆんまおの心は壊れてしまったのだ。
死した僕を甦らせる為に、竜使いとしての禁忌を犯してしまった。
アクバーラで最も重い罪…死した者を甦らせる屍術を発動させようと
して、新たに生まれた世界を統べる竜を殺してしまっただなんて・・・。


周りは再び闇に包まれた。
僕の知らぬ過去の記憶。見せられたモノがあまりにも辛くて、
僕は泣いていた。

僕のせいだ。
僕が死んだ後、ゆんまおがそんな罪を犯していたなんて!

「それほどまでに、ゆんまおはおぬしを愛しておったのだ。
 おぬしを失って気がふれてしまう程に。

 彼女は罰を受けねばならぬ。
 これからの流転の中で、常に独りで生き続けなければならない。」


アルシンハの声が闇の中で響いた。

「しかし おぬしらの絆はとても強い物なのであろうな。
 再びまみえる事等 ありえんと思ったが…。

 じゃが 夢は続かぬ。
 在るべき物は在るべき世界へと戻るのが決まりじゃよ・・・。」


老人はそう言い残して 姿を闇へと消した。

+++++++++++++++




よる、やえいちでぼくはキズナにいった。

「キズナがのぞむなら、ぼくはずっとずっとキズナのそばにいるから。」

そのことばをきいてキズナはとまどったかおをし…ぼくのみぎてを
りょうてでにぎって、そのてにほおずりをしながらいった。

「…そうだね、世界が終わるまではずっとそばにいてね。」


キズナはきづいている。
このせかいが いつわりであることを。
このせかいが ゆめのはざまにあることを。
いつまでもこうしていっしょにいるじかんがつづかないことを。


キズナはいう。このせかいは「20日間の呪い」だと。
たましいをけずり、たにんのたましいをうばってじぶんのきずをいやして
たたかうだけの「のろい」。



「のろい」でもいい。
そのおかげでこうしてぼくはキズナにあえた。
こうしてだきしめてもらえる。だきしめることができる。

ゆめでも。ひとときだけでも。




貴女と共にいる事が出来るのなら。

昔の記憶


ーーーーーーーーーーーーーーー

その世界は 竜が人と共に生きていた所。
その気高さと凶暴さ故に、人々は竜を畏れ崇拝していた。
そして、この世界には竜と共に生きる者達がいた。

竜と寝食を共にし、笛と心で竜と対話し生きる者・・・。
この世界では希少な存在で、王侯貴族からも一目置かれていた存在。

それがあの人だった。

夢を持って故郷を離れ、僕と出会い共に旅をした。
長い長い旅だった。
あちこちを巡り、入り口への道しるべを辿り、高くそびえる塔を
何度も落とし穴に落ちながらも昇りきり辿り着いた"聖地"。

そこは何もない世界。
ただ 竜だけが住む荒れ果てた場所。

世界を司る"聖なる竜"が住んでいるはずの"聖地"に・・・・・・
"聖なる竜"はいなかった。


「あいつは聖なる竜なんかじゃない!
 私の竜は あいつに殺された!」

聖地に只1つ建つ「立ち食い屋」で再会した女戦士が傷だらけの
姿で叫んでいた。
あの人は女戦士が止めるのも聞かず、黒き竜の潜む迷宮へと向う。

「世界を守る」

その為だけに。あの人は命をかける事を選んだのだ。
ならば僕も共に行こう。あの人を護る為に。

ーーーーーーーーーーーーーーー




ひととのたたかいにまけて、きをうしなったときによみがえるきおく。
ぼくがヒトではなかったころのきおく。
ぼくが"りゅう"だったころのきおく。

すこしずつ すこしずつ じぶんのことをおもいだす。

ここにくるまえのぼくがあゆんできた、いのちのきおくだ。

なら、どうしてぼくは ヒトのすがたになっているのだろう?
りゅうだったはずのぼくが、どうして?


なにかおもいだせるかもしれない。
ねつけなかったよる、そっとねどこをぬけだしてよぞらをみあげながら
じぶんのきおくをたどってみる。

りゅうだったころのぼくのきおくを。




ーーーーーーーーーーーーーーー

「竜の巣」と呼ばれる迷宮は、不可思議な場所だった。
そして何よりも、その奥に潜む黒き竜の目の光が創り出す「心の迷宮」が
あの人を苦しめる。

あの人の"負の心"が黒き竜の力で具現化した迷宮。
育ててくれた祖母が、慕っていた女戦士が、旅の途中で出会い心を許した
友が、そしてあの人自身が敵としてあの人と対峙してあの人を苦しめた。


心が傷つき、身体が傷ついても……それでもあの人は負けなかった。
立ち塞がる者を全て倒して、そして遂に黒き竜と対峙したのだ。

カオスドラゴン。

それが黒き竜の名。世界を混沌と化す為に聖なる竜のいない"聖地"に巣食った
闇の竜。あの人は怯む事なく剣を抜き闘った。
僕も共に闘う。 あの人の望むモノの為に。あの人を護る為に。

どれほどの時間が過ぎただろう。
黒き竜は全く動じず、あの人は傷つき膝をついた。
このままではあの人も僕も倒れてしまう。
何か方法はないのか。・・・1つだけ僕に残された方法があった。

竜が生涯でただ1度だけ使う事の出来るブレス。
あらゆる邪悪を焼きつくす 破魔の火炎。

僕の命と引き換えに、ただ1度だけ使う事の出来る技。


傷を負い、今にも倒れそうなあの人を見て僕は決意した。

「やめて! そんな事をしたら
 アンタが死んでしまう!

 やめなさい! お願いだから・・・やめて!!」


あの人が血まみれで泣きながら笛を吹く。
"竜使いの笛"で 服従を命じるメロディを奏でる。

ごめんね。 でもこうしなくちゃあの竜は倒せない。
そしてこうしなくちゃ 貴女が死んでしまう。
だから その命令だけは聞く事は出来ない。

貴女に生きていて欲しいから。
僕の母親代わり。僕のマスター。そして僕がただ1人愛した人。


僕のブレスに焼かれて、カオスドラゴンの身体が砕けて・・・。
ブレスの代償に僕の身体も崩れてゆく。

あの人が僕の名前を叫んでいる。
泣きながら、心の底から悲しんでいるのが伝わった。
ごめんね。泣かせてしまって。
でも・・・僕は貴女を死なせたくなかったんだ。



「ぱいろん! 私を独りにしないで!」

ーーーーーーーーーーーーーーー



「ホルス!」

キズナのこえがした。
こえのするほうをみると、キズナがはしってきてぼくにだきついてきた。

こころがふあんにふるえている。
ぼくはそっとキズナをだきしめた。

なかないで、ぼくはここにいるから。
だきしめてそっとそのほほにくちづけする。


あれからどれだけのじかんがすぎたのだろう?

ずっとずっと さがしていたんだ。

"ゆんまお" あなたを。
ぼくのただひとりのひと・・・。



あなたもぼくとおなじように「サンサーラのことわり」にしたがって、
まえとはちがうすがたとなっていた・・・。

ちがうせかいへといき、ちがうなまえとなり、ちがういきものになること
だってあると よすてびとアルシンハが いっていた。
ふたたびまみえることはむずかしい と。


それでも ぼくたちはめぐりあえた。


このふしぎなしまで。
そしてこうやってふれあうこともできる。




"ゆんまお"はいま"キズナ"というなまえになって、ぼくのうでのなかにいる。

そこに確かに在るモノ


しまにいるけはいがまたへっている。
いきるちからをうしない、ひとがきえていく。

「人間と闘って負けた時より、この島の怪物と闘って負けた時の方が
 失う力が大きい。」

おなじばしょにいるひとのだれかが、そんなことをいっていた。
ひをおうごとに そのうしなうちからがおおくなるのだと。
さいしょは ヒトとたたかうほうがこわかった。
けれど、もしこのひとがいっていることがほんとうなら・・・
かいぶつとたたかうことのほうが おそろしいことなのかもしれない。

ぶきやぼうぐをそろそろつよくしたほうがいいかな?
そんなことを ふとおもった。




ーーーーーーーーーーーーーーー

「・・・ここを通す事は出来ねぇな。」

聖地への扉を守る番人が、あの人にそう言った。
番人に渡す為、あの人が立ち食い屋で禁忌を犯してまで手に入れた
「牛丼弁当」を食べながら番人はあの人をチラリと見る。

「通してやりたいんだけどな。お前の連れがな・・・。」

番人が僕を凝視する。

「そんなウロコじゃ弱くて駄目だ。
 ウロコを強くしてやらねぇと ここを通るのは難しい。

 ーーーの血を浴びさせて来いや。
 そうすりゃウロコが固くなってそいつも強くなっから。」


旅を始めた時、同じように僕を強くする為にあの人は僕を"泉"へと
連れて行ってくれた。 その泉の水を浴びればウロコが固くなると
教えてくれたヒトがいたから。

「行こう。ーーーの巣へ。
 危険かも知れないけれど・・・アンタの為だもの。
 頑張って 2人で行こうね。」

あの時と同じように、あの人は僕の為に危険を承知で僕を連れて
目的地へと向う。 自分が危険な目に遭うかも知れないのに…。


いつもそうやって僕の事を考えてくれている。
そんなあの人の役にたてるのなら・・・。 

ーーーーーーーーーーーーーーー




いまのぼくには"ウロコ"がない。
ほのおやキバ、ツメやかたなから ぼくのみをまもっていた 
かたいかたいウロコ。 あのひとがきけんをおかしてまで2かいも
つよめてくれた じまんのウロコ。

いまのぼくには"ツメ"がない。
どんなてきでも きりさいた ぼくのぶきだったツメ。
あのひとをまもるために、たちはだかるてきをたくさんきりさいたツメ。

いまのぼくには"キバ"がない。
どんなものも かみくだき えぐりとったぼくのぶきだったキバ。
あのひとをまもるため、そしてじぶんがいきるために、かぞえきれぬ
ほどのどうぞくをかみくだいたキパ。


ヒトのからだはとてもよわい。 
だからぶきとぼうぐをつかって からだをまもり、ちからをふやす。
すこしたよりなくてふべんだけど・・・

そのかわり つめのないこのては キズナをだきしめることができる。
きばのないくちで キズナにふれることができる。


うしなったものはあるけれど、あのときかなわなかったことをてに
いれた。 すきなひとをだきしめてふれることのできるからだ。

ずっとずっと こうしたかった。


だいすきなひとをだきしめて ふれて・・・みたされたかったから。




よるになり、3にんともがひのまわりでねむる。
すこしまえから、キズナはぼくといっしょにねむるようになった。
ぼくがキズナをだきしめ、キズナもぼくをだきしめる。

ふれあうだけであたたかくてみたされるこころ。


だきしめて ゆびでふれる。くちびるでふれる。
やわらかなからだ、あついはだ、ちいさなむね、ぬれたくちびる。
たしかにそこにキズナがいる。


いま ここで いちぱんたしかなモノ。
キズナのあたたかな・・・。

自分自身の事


ひととのたたかいで、ぼくはきずをおってたおれた。
キズナとリョウコがふたりでたたかって、あいてをたおしてくれた。

そのあとのたたかいに、ぼくもたちあがりさんかする。
ひとりたおれたままでいるなんで できない。
キズナはぼくが・・・

きりょくだけでたたかっていたせいか、たたかいがおわるとどうじに
ぼくはそのままたおれてしまった。
いしきがうすれてゆく・・・。




ーーーーーーーーーーーーーーー

「無茶ばかりするんじゃないの!
 ーーーー。 アンタはまだ小さいんだから・・・」

あれは 初めて外に出たときの事。
まだ身体も小さくて闘う事も知らなかった僕は、初めての戦闘で傷を
負って倒れてしまった。

あの人は必死になってぼくを手当してくれた。
無茶をするなと 怒っていたあの人の言葉を聞いて、僕は悲しくなる。
だって…何の役にも立てないの? そう思うと情けなくて悲しくて。 

「無理をして アンタが怪我をして倒れたら…悲しいもの。」

あの人が泣いていた。僕の為に?
泣かないで、もう無理はしないから。 笑って欲しくて僕はあの人の
頬をつたう涙を舌で舐めとった。泣かせたくなかったから。
なぐさめたくて身体をあの人に擦り寄せた。

「ふふふ 甘えん坊なのね。
 ・・・それとも 心配してくれたのかな?」

あの人は笑って僕を抱きしめてくれた。



「アンタはこれからもっと大きく、強くなる。
 だから 時間をかければきっと強く、勇ましくなれるから・・・
 その日がくるまでは 少しずつ頑張ればいいのよ。」

川から獲って来たなまずを僕に食べさせながら、優しい声であの人は
そう言った。
大きく強くなれれば、僕はあの人を護る事が出来るのだろうか?

だとしたら、僕は大きく強くなりたい。

ーーーーーーーーーーーーーーー



きがついたとき、もうひがくれてよるになっていた。
キズナがずっとそばについて かんびょうしてくれていたみたい。

まだ すこしからだがいたいけど、ずいぶんとらくにはなっている。

「ごめんね。 ぼく さきにたおれてキズナをまもれなかった。
 こんなによわくて・・・ぼくのこと きらいになっちゃう?」

おきあがって、キズナのまえにすわってから おもわずでたことば。
キズナをまもるときめたのに、さきにたおれてしまったことがとても
なさけなくて…かなしくて…。

「嫌いにならないよ、ホルスは大好き、だよ。だから泣かないで」

やさしいこえで、キズナはそういってぼくのあたまをじぶんのむねに
だきよせてくれた。
あたたかくてやわらかいキズナのむね。むねのこどうがきこえる。
なつかしい どこかできいたことのあるおと。

そのままキズナに からだをゆだねる。


ここちよくて そのままいしきがまたおちていく。
からだのちからがぬけて・・・。




+++++++++++++++

「あらあら やっと起きたの?
 本当にこの子は寝てばかりねぇ・・・」


優しい声が聞こえた。
少しして、僕の顔を覗き込んだのは黒い髪の女の人。

「赤ン坊は 寝るのが仕事だろう? 何を今更・・・」

低く力強い声がして、女の人の後ろから男の人が顔を出した。

・・・キズナは? キズナは何処に行ってしまったの? ここは?
不安に駆られて 僕は泣いてしまった。

「起きたと思ったら 大泣きか?
 あ〜 腹が減ってんのか? それともおしめか?」

男の人があたふたとし始める。 女の人は泣いている僕を抱き上げて
胸に抱くと優しく背中を撫でてくれた。 

優しい胸の鼓動。
キズナと同じ鼓動・・・?

それとも・・・
鼓動を聞いて少し心が落ち着いたのか、また意識が朦朧としていく。

「ん? また寝はじめたのか? 腹が減っていた訳でもおしめが濡れて
 いた訳でもないって事か? 何か 変わった奴だな・・・。」

「自分の息子にそれはないでしょう。 でも… とても不思議な子ね。」


歌が聞こえる。 



まどろみながら聞いていたあの歌が。



誰? あなた達2人は 誰なの?
あの人でもキズナでもないのに、僕を優しく見つめて包んでくれる。

そして ここはどこなの?
島ではない場所、あの人のいた世界でもない場所。


僕は・・・どうして ここにいるの?
意識がまた落ちて行く。深い深い闇の中へ・・・

歌声が 微かになり・・・聞こえなくなった。

+++++++++++++++



きがつくと、ぼくのめのまえでキズナがねむっていた。
あのまま ふたりでねむってしまったみたい。

キズナのかおを そっとゆびでふれてみる。
ほほ、まぶた、はな、・・・ちいさなくちびる。
たしかにそこにあるかんかく。ちゃんとふれることができる。
ゆめじゃない。キズナはたしかにここにいる。



なにがげんじつでなにがゆめなのか、じぶんでもわからない。

ここにきたときには なにひとつおぼえていなかったのに とつぜん
よみがえるきおく、そしてみたことのないひとたち。



どうしようもなくふあんになる。



ぼくは・・・いったいなにものなんだろう?


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